2014年に公開された米林宏昌監督の思い出のマーニー、数あるジブリ作品の中でも様々な考察がされていますよね。
思い出のマーニーの正体は幽霊なのか?それとも杏奈の妄想なのか?マーニーの正体は一体何なのだろうと気になる所。
思い出のマーニーの原作はイギリスの児童文学で、イギリスと言えば幽霊とかオカルトとかが好きなお国柄。
幽霊好きのイギリスで生まれた話なら、マーニーも幽霊だったんじゃないの?と思っても不思議ではないですよね。
もしくは、全て杏奈の妄想の中の人物だったのか、イマジナリーフレンド(空想の友人)とか言いますし。
喘息を患っている杏奈が、療養のために訪れた海辺の田舎町にある湿っ地屋敷で出会う謎の女の子マーニー。
物語の最後でマーニーは杏奈の実の祖母だったことが明かされますが、祖母は杏奈が幼い頃に既に亡くなっています。
じゃあ、杏奈と会話をしたり笑い合っていたマーニーは一体誰なのか、謎が深まるばかりです…
今回は、思い出のマーニーの正体は幽霊?杏奈の妄想なのか?について考察してきたいと思います。
もくじ
思い出のマーニーの正体は幽霊?
物語の最初の方で、誰も住んでいないと聞いていた屋敷で杏奈とマーニーは出会います。
廃れた屋敷に似合わないネグリジェ姿の女の子が急に現れたら…普通に考えればホラーですよね!
しかも、マーニーは何故か杏奈のことを知っていて、杏奈もマーニーの存在をすんなりと受け入れてる。
杏奈は精神的に不安定な女の子なので、霊的な何かとフィーリングが合ってマーニーに出会ったのかと思いました。笑
杏奈は「私達のことは秘密よ」とマーニーに言われ、お互いの存在を誰にも明かさない約束をします。
実は杏奈にしか見えていない存在=幽霊だから…?1人ぼっちでいたり、心が揺らぎやすい人に幽霊は見えやすいって言うので。
そう考えると杏奈は両親を交通事故で亡くしていたり、周囲に心を開かない傾向にあったりと幽霊にとったら近づきやすい存在なのかもしれません。
マーニーは「屋敷から離れられない」とも言っていました。
愛していた孫(杏奈)を心配する守護霊か、心残りがあってこの世に留まっている屋敷の地縛霊か…
その後も使われていないはずの屋敷でパーティーが開かれていたり、完全に怪奇現象の目撃者になった気分です。
靴を片方忘れてきてしまった杏奈が屋敷に戻ると、昨日のパーティが嘘のように閑散とした屋敷に戻っています。
やっぱり、マーニーも屋敷のみんなも幽霊だったんじゃ…!?と考えてしまいます。
物語が進むとマーニーも幼い頃、両親の愛を受けられず、ばあやとねえやにいじめられていた過去が発覚します。
幼い頃に両親を亡くし周囲に馴染めない杏奈、1人ぼっちで辛い幼少期を過ごしたマーニー。
マーニーは亡くなってからも寂しい気持ちを癒せずに、同じ年頃の杏奈と友だちになることで杏奈の”良き理解者”になりたいと思ったのかも知れません。
そして、マーニーと会えるのはいつも夕暮れ時か日が沈んでからで屋敷周辺のみです。
夕暮れ時は黄昏時とも言われ、黄昏は「誰そ彼(あなたは誰)」と人の顔が判別しずらい時間帯のことで現実と人ならざるものとの世界の狭間が曖昧になる時間とも言われています。
マーニーが幽霊だったのだとすれば、黄昏時に紛れてしか現実世界に姿を現すことが出来なかったのかも…?
思い出のマーニーは杏奈の妄想?
自分の殻にこもりがちで周囲との関係を上手く築けない、孤独の中で1人苦しんでいる杏奈が妄想に走ってしまってもおかしくないかも…と思っちゃいます。
マーニーが両親の愛情を受け何不自由なく暮らしている姿を見た杏奈が「私、あなたなら良かったのに」と言う場面があります。
自分を残して死んでしまった両親を許せない気持ちと、養母である頼子が児童手当を受け取っていた事を知り自分は利用されていたのではないかと人を信じられない杏奈。
心に暗く重い闇を抱えた杏奈は誰かに理解してほしい、愛してほしいという思いが強く、マーニーという姿(妄想)になって見えたのかもしれません。
魔女の宅急便の終盤で、急にジジの声がキキに聞こえなくなってしまうシーンがありますよね。
一説によると、キキに聞こえていたジジの声は自分の思いを投影した形、つまり自分の望む答えをくれる存在とも言われています。
マーニーもジジの声と同じような存在だとすれば、杏奈の心の奥底に眠る寂しさや愛を求める気持ちが具現化された姿とも言えますよね。
また、杏奈が幼い頃に祖母と一緒に住んでいて、祖母(マーニー)は自分の体験を杏奈に話していました。
杏奈は無意識のうちに祖母の体験が記憶の中に刷り込まれ、祖母から聞いた話を追体験していたのでしょうか…
サイロの近くでマーニーが杏奈を和彦と呼ぶシーンがありますが、杏奈の記憶のほとんどはマーニーと和彦の実体験でした。
ばあやとねえやに連れて行かれたサイロはマーニーにとってトラウマの場所なので、和彦との楽しい記憶に置き換えたかった為に杏奈を和彦と呼び間違えるのです。
マーニーが急に消えてしまったり突然場面が変わったりするのは、杏奈の記憶が曖昧だったりマーニーに聞いていない話の部分だから先が分からないと考えると納得がいきます。
マーニーは杏奈が祖母に聞いた話を元に作り上げた妄想世界の人物だから、マーニーの姿も幼少期の若いままなのでしょう。
逆にマーニーが年老いた姿で杏奈の前に現れていたら、世代も違い過ぎるのでお互いの気持ちを理解し合うのが難しいかもしれないですね。
同世代で同じ境遇の中にいたマーニーだからこそ、杏奈は心を通わせて人との繋がりの大切さを感じられたのだと思います。
杏奈にとってマーニーは妄想だったとしても、人の痛みや愛される喜びを感じるきっかけ、人として成長する為に必要な存在だったと言えます。
物語の後半でマーニーを忘れてしまう瞬間がありますが、杏奈の心の中にある”わだかまり”が溶けて現実世界で生きていく希望を見い出せたことを表しているのでしょう。
自分を1人ぼっちにした両親や祖母を許す心が生まれ、妄想世界のマーニーを必要としなくなったということですね。
米林宏昌監督が語るマーニーの存在とは?
杏奈の胸の内は人によって違うように見えるだろう。でもそれでいいかな、と。マーニーの存在だってぼんやりとして夢の中のようだ。
ただ、マーニーと湿地の実体感を描き、杏奈のゆっくりとした変化を描こう。— 米林宏昌 (@MaroYonebayashi) March 15, 2020
マーニーは夢の中のような人物に対し、彩香は現実世界の人物。彩香と出会ったときに、杏奈は「マーニーは自分の想像の中の女の子」と告白している。にも関わらずその後にマーニーに会うことで、より危うい展開になった。
— 米林宏昌 (@MaroYonebayashi) March 23, 2020
マーニーの出番を分けたことにより、マーニーと会えなくなる時間が発生する。なぜ会えなくなったかは、大岩のおじさんおばさんの存在は大きかった。それと養母の頼子。
現実世界が充実していれば別にマーニーはいなくてもいいかなあと。— 米林宏昌 (@MaroYonebayashi) March 23, 2020
出典:米林宏昌Twitter
出典:米林宏昌Twitter
米林宏昌監督はマーニーの存在が何かをハッキリと語っていません。
マーニーの存在は見る人によって解釈が違うからです。
正解をつくらず、見る人の立場や年齢、心境などによって話や人物の捉え方が変わってくるからだと思います。
同じ物語を見ても、子どもの時と大人になってから見た時の感じ方が違うことってよくありますよね!
思い出のマーニーだけではなく、ジブリシリーズ全てに言えるかも知れませんが、物語を見た人の解釈に委ねてそれぞれが思ったことが全て正解なのかもしれませんね。
思い出のマーニー、ネットの感想や考察は?
物心つく前におばあちゃんが話してくれた思い出を追体験してたってこと?アンナが出会ったマーニーは妄想で、彼女の思い出の中のカズヒコや久子に自分を投影してた?よくわからん
— 田中 (@2kotanaka) October 9, 2015
何の気なしに観賞した「思い出のマーニー」は、引っ掛かる点がありすぎて短期間で何度も観返してしまい、その度に個々のエピソードの解釈が変化する多面性の中に精妙さと歪さを帯びた変な映画だった。大好き。というか不思議な位ハマりすぎて一か月近くこの作品が頭から離れなかった。
— 町田肇 Hajime Machida (@Hajime_Machida) March 28, 2017
思い出のマーニーの面白さとはずばり、杏奈の空想の友達だったマーニーが、実は死んだ祖母という、主人公のルーツに関わってくるところだ。そしてもうひとつ重要な点は、マーニーが単純に祖母の幽霊などではなく、あくまで同い年の友達として杏奈と触れ合い、悩みを打ち明けあうところだろう。
— にいな涼🌸🍵🍡 (@ninaryo) September 18, 2014
男三人で思い出のマーニーを見てきました。マーニーが杏奈のイマジナリーフレンドなのか幽霊なのかでみかたが変わってきそう。幽霊だとしたらマーニー自身の幽霊なのか、屋敷自体の幽霊なのか…
アリエッティよりストーリーは綺麗回収されてましたね。
結局花売りの子はなんだったんだろうか?
— ちあき (@Samejima3) August 23, 2014
ダメだ…
思い出のマーニーを娘と見てたけど…
ママ、マーニーて何者⁉️
えっ⁉️何回見ても理解不能…
妄想の世界?
頭パニック‼️— 桜ママ (@UAhJEX1SrkmfB1b) July 14, 2017
幼少期に婆さんから聞かされた婆さんの思い出に感情移入して妄想世界をつく出し、現実から逃避するために妄想世界と現実世界とを混同しはじめ、空想のマーニーと自問自答しながら数々の怪奇行動を起こした主人公まじホラー #思い出のマーニー
— タダノヒトデ (@HIT0DESAN) October 9, 2015
「思い出のマーニー」改めてBDで鑑賞。泣いた。涙ダラダラ流して泣いた。全てに泣いた。誰にも彼にも登場する全てのキャラクターに泣いた。俺は思うんだよ。これは杏奈の祖母に聞かされてた話ってのはあるけども、絶対に杏奈の妄想じゃない。マーニーが伝えたかったんだ。尊いんだと。生きるってさ。
— ロロ・トマシ (@roro_tomashi) March 25, 2015
『思い出のマーニー』とても良かった。突き抜けた根暗屑が田舎パワーではなく、妄想とイマジナリーフレンドを駆使して自力で更生する様に勇気と感動をもらった。
— さめぱ (@samepacola) August 3, 2014
マーニーの正体とは何だったのか、ネット上でも妄想?幽霊?空想?追体験?など様々な意見が上がっていました!
みんなそれぞれが思うマーニーの解釈があって、他の人の意見を見るとまた作品の印象が変わってきますよね。
思い出のマーニーの正体は幽霊?杏奈の妄想?考察してみた!まとめ
今回は、思い出のマーニーの正体は幽霊?杏奈の妄想なのか?について考察しました。
マーニーの正体が何なのかは劇中でもハッキリと表されていません。
マーニーは杏奈の孤独が作り出した妄想で、祖母(マーニー)に聞いた話を追体験しているというのが1番しっくりくるかも…
何はともあれ、ジブリ作品の世界は本当に奥が深いですね!
ご参考になれば幸いです^^